自分と他人を比べることから生じるマウンティングや嫉み。いつの時代も人は「比べること」「比べられること」から逃れられないようです。そんな世の中で無駄にストレスを感じたり自己肯定感を下げることなく楽しく生きるコツについて考えてみました。
大河ドラマの「比べたり」「比べられたり」のシーンが話題!
吉高由里子さんが紫式部を演じている大河ドラマ『光る君へ』。女子どうしのマウンティングや男子による「女の品定め」シーンが話題を集めました。
身分や“空気読まない”感に対してじんわりふんわりマウンティング
左大臣の娘・源倫子が主宰する教養を学ぶ“サロン”で下級貴族の娘であるまひろ(紫式部)は常に下座に。まひろの良くも悪くも空気を読まない発言に対して、上級貴族の子女たちからは「やだ~、まひろさんたら」とクスクス笑いが。
「雨夜の品定め」を思わせる言いたい放題の“おなご品評会”
藤原道長、公任、斉信のイケメン御曹司トリオの宿直シーンは源氏物語に出てくる「雨夜の品定め」へのオマージュとも。もらった文を見せ合いながら女子のルックスや和歌の腕について言いたい放題の品評会が繰り広げられていました。
今も昔もどうして「マウンティング」に悩まされるの?
比較から生じるマウンティングのようなデメリットだけでなく、実は成長もさせてくれる「比較の心理」について、解説していただきます。
協調性を重んじるからこそ「比べてしまう」日本人の国民性
日本には昔から協調性や和を重んじる文化があり、和を乱さないために他の人はどうしているかを学校でも会社でも観察、比較する習慣がついています。比較のいい側面は相手に対する配慮や思いやりとして表れますが、裏を返すと人と自分を比べることで劣等感が生まれたり、相手を下げるマウンティングという形となることも。
ネガ探しではなくポジティブ探しを習慣化するだけで劇的な効果が
人のネガティブを指摘してマウントを取るより、やるべきなのは相手のポジティブ探し。おすすめなのが「3行感謝日記」です。人からしてもらったことへの感謝を3つ、毎日書きます。2週間ほどで他者のいいところを見つける力がつき、それが自分の長所を発見する練習にもなり、劇的に自己肯定感が上がります。
マウンティング=自信のなさの表れすればするほど自己肯定感↓
マウントは自信のなさがさせる行為です。日本人の多くがネガティブ探しの達人。人の欠点や短所を発見する能力は自分に対しても発揮され、無意識に人と自分を比べて落ち込んだり、自己肯定感が下がる負のスパイラルに。人と自分に優劣をつけてマウンティングしても、スカッとするどころかけっきょくは自己肯定感が下がりストレスになるだけです。
精神科医・樺沢さんに聞いた!自己肯定感を下げることなく楽しく生きるコツ
「人は他人と比較してしまう生き物である」という心理学者・フェスティンガーの言葉があります。重要なのは人との比較をどう取り扱うか。自分より上の人と比べる「上方比較」では相手を目標にし、努力の原動力にできればいいですが、多くの人は自分のほうが劣っていると落ち込んだり、嫉妬したりするもの。相手を冷静に観察し、真似をすれば成長に繋がります。一方、自分より相手が下だと思う「下方比較」では、「自分はあの人よりマシ」と束の間の安心感を得て成長を止めてしまったり、些細な優越感が欲しいがためにマウンティングをしてしまうことも。おすすめは「過去の自分」と「今の自分」を比べること。自分の成長に気づいたり、現状の努力不足を認めることも成長には不可欠です。比較の心理を上手に使いこなし、自信や成長に繋げましょう。
お話を伺ったのは…樺沢紫苑さん(精神科医・作家)
精神医学、心理学、脳科学の視点から発信するメルマガ、SNSのフォロワーは累計100万人超。30万部のベストセラー『精神科医が教えるストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)など著書も多数。
イラスト/松元まり子 取材/加藤みれい 編集/中畑有理 再構成/Bravoworks,Inc.